先日(7/16)、高針棒の手保存会による道具の土用干しを見学させていただきました。
実は、今年の名東の日・区民まつりで棒の手の実演を見るまで、棒の手は知っているけど見たことがありませんでした。(仮にも名東区の萌えキャラを名乗るものとして恥ずかしい限りです…orz)
なので、棒の手に関する知識もあまりなく、本当に今回の見学で初めて得る知識ばかりで、とても為になりました。
では、最初に棒の手について簡単な説明を…
棒の手とは尾張や西三河に伝わっている民俗芸能で、その由来は農民の自衛のためとか、神事芸能のためとか言われています。
その中で高針の棒の手は、今のよもぎ台の方から尾張旭市の印場の方に伝わったモノを高針の人々が持ち帰って来たものだそうです。
また、高針の棒の手は平成8年に名古屋市の無形文化財に登録されました。
ちなみに今回、取材・見学してきたのは主に高針の棒の手の中でも直心我流の新屋敷のです。
次に今回撮らせていただいたモノの説明をしていきます。
1枚目の写真ですが
この大量の鳥の羽は馬標という馬を飾り付けるための羽で、これらをモサモサに束ねて使われていたそうです。(現在は馬がないので、使われておらず分解されています)
そして、この鳥の羽の上に置かれた棒が武器となる棒(主に子供用だそう)、薙刀、槍、柄が長い鎌など(これらは「花棒」と呼ばれる大人用のものだそう)です。(メイに写真を撮る技術が無いため、とても見づらいです。すいません…m(___)m)
花棒は見た目を良くするために、わざと刃をしっかり留めていないので、カチカチ音がします。
その話を聞いたとき、棒の手は戦うためのモノではなく、魅せるためのモノというのがはっきり出ていると感じました。
2枚目の写真ですが
左から馬標巻き、尻駄負、障泥(あおり)、首鎧というモノです。
これらはどれも馬の塔で馬を飾り付けるために使われた馬具ですが、今は先述の通り馬がいないので使われていません。
馬標巻きには賤ヶ岳の戦いのときに秀吉の本陣に突入した佐久間盛政が秀吉の眼光に射すくめられる場面が、障泥には槍で矢を防いで進む加藤義明たちが描かれています。
3枚目の写真ですが
これは秋祭りなどで使われる幕だそうです。
幕には柴田勝家などが描かれているのですが、よく見てみると…
なんと明治40何とか年(写真を撮り忘れたのでうろ覚え…)に作られたモノだそう!
長い間使われている幕なので、修復された跡がたくさんあるのですが、その中に4枚目の写真のように裏表反対に縫われている部分もあったりします。
その方が都合がよくて裏返しで縫われたのか、はたまたうっかりミスで縫ってしまったのかは分からないそうですが、どちらにしても面白いですね。
ちなみに、縫い方が荒い波縫いなのですが、なぜかというと棒の手の道具は女性が触ってはいけないものとされており、幕の修復も男性がやるからだそうです。よかった…危うく触ってしまうとこでした…あぶないあぶない…。
5枚目は鷹羽検藤流の東古谷の幕ですが、写真に納まりきっていませんが、海女と龍が描かれています。(やはりメイには写真を撮る技術がないです)
このように、島によっても幕の絵が全然違うというのが分かります。
また、島によって技の型も異なるそうです。それについては秋祭りに行ってから、また書こうと思っています。
この日は6つの島が土用干しをしていましたが、人不足で活動していない島もあるそうで、今活動している島でも人が減ってきているそうです。
また、高針以外の名東区の地域でも昔はあったが、もう途絶えてしまったというところもあるそうです。
このように人不足になってしまう理由は
・衣装が金糸による刺繍などで高く、新しく引っ越してきた人が気軽に始められない
・職人が不足しており、草鞋や花棒などの道具が揃えられない
・棒の手をする人が社会人になって外に出て行ってしまう
・棒の手をする子供たちが中学、高校生になって部活で忙しい
・体幹が弱い子供が増えている
などがあるそうです。
しかしこのように先細りするままではいけないと、最近は高針だけでなく豊田市などの他の地域の棒の手保存会と交流をしたりと積極的に行動しているそうです。
メイも、今回の取材・見学で棒の手に対する理解が一層深まり、また、高針の歴史や信仰の話(今回のブログじゃ収まらなかったので、また今度書きますね)を聞き、今まで面白い芸能と感じていた棒の手が、とんでもなく面白い芸能だと感じるようになりました。
また、棒の手が途絶えてしまった地域に住んでいる人間だと今回知ったり、色々近しいと感じるところがありまして…、こんなとんでもなく面白い棒の手を沢山の人に知ってほしいなあと思うようになりました。いぇい。
10月8日の体育の日に高牟神社で秋祭りをやるらしいです。たくさんの島の演武が見れるそうなので、ぜひぜひ見てみて下さいね。(何とかまとまりました…文章を書くのってやはり難しいですね)
参考文献
名東区、「名東区の民俗文化財」、名古屋市、http://www.city.nagoya.jp/meito/category/155-2-2-0-0-0-0-0-0-0.html、(参照:2018-08-06)
2018-08-06 最終更新